野菜ソムリエ 藤田が行く!

「福島の人とつながりが出来たら福島で話を聞きたいと思っていて」
そうおっしゃったのは、糸井重里さん。
対談を快諾して頂いただけではなく、わざわざ福島県に足を運んでくださいました。
糸井さんは主宰している「ほぼ日刊イトイ新聞」(http://www.1101.com/home.html)などの情報発信等を通して、
東日本大震災の被災地のために様々な支援をしてくださっています。

 

今回は−その2−です。
その1  いきなりカルチャーショック!?(2012年7月13日公開)
その2  福島がほかの被災地と違うこと (2012年7月17日公開)
その3  でもユーモアがないとね    (2012年7月18日公開)

 

立ち直りやすい人とは

東日本大震災という未曽有の大災害、その尋常でないダメージから精神的に立ち直る速度は人によって違います。

津波被災地をご覧になった糸井さんは、
何をしたらいいかっていうことを探せる人とそうでない人がいて、個人事業主は立ち上がりやすい、責任があるから、
自分の被害について泣いているよりはこの人たちをなんとかしなきゃと、
リーダーとしての気持ちになるのが早かったのかもしれないですね、とお話されました。
また、勤めている人たちは親方がどう考えるかを基準にするのでタイムラグが出るのかも、とも。
個人として考えることと、責任のあるものとして考えることは、考え方の「層」が違うので、
先に前に進む気になった人を見てればみんな勇気が出るんだなぁ、
糸井さんは宮城や岩手の人々を見ての印象をそのようにお話され、福島にもそういうのがあるんだろうな、とおっしゃいました。

これは立場の違いでもありますが、心構えの違いともいえることであり、多くの示唆が含まれていると感じました。

その上で、農家さんや漁師さんはもっと難しいですよね、自分で決められないことがたくさんあるから。
場所によって状況が違う。特に福島は、「福島」とひとくくりにされてしまうし、と糸井さん。

これはまさしくその通りで、県外の方には非常に通じにくいことです。
地震の被害が大きかった地域・そうでない地域、津波被害があった地域・そうでない地域、
避難せざるを得ない地域・そうでない地域、農作物を作付出来ない地域・そうでない地域・・・と、
同じ「福島」でも全く状況が異なるのです。
この点はもっと皆さんにご理解いただきたいことであり、画一的でなく状況に応じたきめ細やかな対応が必要となる点です。

 

「これから」を生きていく上で

現在において、他の地域に比べて福島県が様々な意味で厳しい状況におかれているのは事実です。
そのような環境下で生きていくことについても話がありました。

状況はそれぞれ違うけれど、最後は魂の問題。
糸井さんは、今被災地において立ち上がって前に進んでいる人は、震災以前からもともとそのように生きてきたのでは、
といったことを指摘されました。

そして「前向き」に生きることと「後ろ向き」に生きることについて、
大変さとか苦しさは本当はどっちも同じ、ただ、やっているプロセスに喜びを感じられるのは「前向き」。
そこを認識するとだいぶ楽になる、事実は同じだけれども、日々が違う。

  

 

福島がほかの被災地と違うこと

その上で、福島が他の被災地と違う点として次のようなお話をされました。
決定的に違うのは、原発事故の被災者同士が会えていないこと。
グループで会って話が出来る地域の人と違って、避難せざるを得なかった人たちは
お互いが久しぶりに会っている。その問題を解決することは難しい。
人が集まるということがどれだけ勇気を与えてくれたり前に進ませてくれるかということを痛切に感じた。
何もできない、しゃべってまた別れなければいけない状況はつらいですよねと、同じ福島でもその違いはすごく大きい。

人と人のつながりが断ち切られる苦しみ。その数字やデータにできない苦しみこそ、最も解決が難しく、
最も助けが必要なこと。
糸井さんは、福島県が背負わされた苦しみの最たるものを、的確に理解し表現してくださいました。

 

問題の解決についての考察

そういった複雑に絡み合った問題について、ある考え方を提示されました。

為政者のようなスタンス・全員がうまくいくにはどうしたらいいかという考え方、
自分が何とか生き延びていく・もちろん周りに迷惑をかけずにという考え方、
この2つを分けないと何もできなくなってしまう。
為政者の立場を兼ねてしゃべってしまうとなかなか前に進めない。

確かに、全員がうまくいくように考えなければならない事柄もあるとは思いますが、
あちらを立てればこちらが立たずということの繰り返しは結局何もしないことと一緒で、
本末転倒になってしまうと、お話を聞いて思わずうなずきました。

この二つの考え方の切り分けを考えていく、現場にいる人たちはそれを始めているし、外にいる人はごっちゃにしている、とも。

このあたりに、「現場の考え方を聞く意味」があるのではないかと思いました。

 

次回、「でもユーモアがないとね」は7月18日(水)にお届けします。

対談の様子は「ほぼ日刊イトイ新聞」(http://www.1101.com/home.html)でもご覧いただけます。


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