おいしい ふくしま物語

anpo_main

2015年1月8日

北国から雪の便りが届き、寒さが厳しいこの時期。冷たい風まで吹きすさぶ…。
そのような中、寒さと風があるからこそ生み出される逸品があります。それが干し柿です。
その身をぎゅっと引き締めて濃厚な甘みを生み出すことができるのです。
 
美味しい干し柿に、さらにひと手間かけて極上のおいしさに仕上げたものがあります。それが“あんぽ柿”です。
 
一般的な干し柿の特徴では、濃厚な甘みを凝縮する過程において実が黒っぽく硬くなっていきます。この“硬くなる”性質を抑えて、より生の柿に近づけることができないだろうかと考えて生まれたのが“あんぽ柿”です。
そして、その技法を長年の試行錯誤の末に確立させた地が、福島県なのです。

“あんぽ柿”生誕の地は、伊達市梁川町。生糸の需要減少による養蚕業の衰退に直面する中、高い評価を得ていた当地の柿に活路を見いだした人々がいました。
柿の加工品というと干し柿。しかし一般的な干し柿のままでは特産品としてインパクトが弱いと考えられたのかもしれません。
当時、日本全国で誰も実行していなかった干し柿における乾燥技術の革新に着手し始めたのですが、その先進技術の導入元の地となったのが、なんとアメリカ!

anpo_1

あんぽ柿は90年を超える歴史を持つ加工品です。今よりも交通事情も情報伝達手段もはるかに整えられていない90年以上も前に、アメリカから技術を導入するというその先進性とあくなき探求心に驚いてしまいます。

anpo_2

その技術とは、干しぶどうの乾燥に使われていた燻蒸(くんじょう)技術。干す前に硫黄で“いぶす”のです。(硫黄は乾燥する際に揮発するので毒性はありません。)
もちろんその技術がすんなりと応用できたわけではなく、様々な問題を解決しながら柿に応用し、ついに生まれたのが“あんぽ柿”なのです。

干し場で柿はおよそ45日〜60日かけて乾燥されますが、日中は気温の上昇とともに水分が奪われ、夕方から夜は湿度が高まり柿に水分が戻ります。水分を微妙に調整する生産農家の干し場管理と福島特有の寒暖差が、他では味わえない独特のすっきりした自然の甘みを生み出します。
 
干し柿にはない、半生のようなジューシーさと上品な甘み。この極上のデザートは、福島県の厳しくも豊かな気候風土から採れる柿、そして先人たちによる探求と努力の結晶だったのです。
 
“あんぽ柿”の名前の由来は、宝歴時代(1751〜1763年)に、上五十沢峯集落の七右衛門という人が、どこからか柿の木をもってきて植えた「七右衛門柿」を皮剥きして天日で乾燥させたものを、江戸時代には天干柿(あまぼしがき)と名付けていたとされ、さらに天干柿が訛って“あんぽ柿”と呼ばれるようになったと言われてます。
 
福島の“あんぽ柿”は、震災に伴う原子力災害の影響で、主産地の伊達市は加工自粛を余儀なくされてきましたが、真冬の柿樹の除染作業や加工再開モデル地区の設定、全量非破壊検査機器の開発などにより、平成25年12月に3年ぶりに悲願の出荷再開を果たしました。さらに今年は、加工再開モデル地区が昨年に比べて3倍に拡大されるなど、生産者、関係者の努力が実を結びつつあります。福島の思いを込めた“あんぽ柿”をぜひ味わってみてください。

(記事:コッシー情報員)


↑