野菜ソムリエ 藤田が行く!

小松知未さん

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福島県福島市の自然あふれる郊外に立地する国立大学法人福島大学。震災後、福島大学では「東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う被害に関し、事実を科学的に調査・研究するとともに、被災地の推移を見通し、復旧・復興を支援する」ことを目的に、震災直後の2011年4月13日“うつくしまふくしま未来支援センター(通称:FURE(フレ))”を設立し、活動してきました。

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農学部がない福島大学ではありますが、未来支援センターにおいて産業復興支援の一環として“食・農復興支援”の活動を行っています。
今回お話をお聞きした小松知未さんは、北海道大学大学院農学博士後期課程修了で農業経営学がご専門。農業分野の復興支援担当として2011年10月に着任されました。
3年半にわたっての“現場”における活動を通して得られた知見をうかがいました。

お金に換算できない部分

農業の生産から流通まで、まさに農業に関わるすべての部分で復興支援を担ってこられた小松さん。
「忙しすぎて、悩んだりする暇がなかったです」と思わず吹き出される小松さん。そういった中で蓄積されてきた知見について伺いました。

福島県の農業の産出額・売り上げの減少については、“原発事故によるもの”といったかなり大枠でしか巷では語られていない状況を踏まえて、と前置きし、
「津波であれば流されてしまった分という形で把握できますが、原子力災害の産出額の減少の内訳については、把握が難しいのが現状です。内容が、非常に多岐にわたっています。」と小松さん。
1“廃棄“ 2“生産の自粛・制限“ 3“風評被害による価格の下落“。この3つをきちんと分けてよく影響を見極めないとならないと指摘されました。
「初年度はこの3つが重なったので産出額が3〜4割減少しました。2年目以降は“廃棄”は無くなりましたが、その他2つは続いていくので、しっかり全体を見ていかなければなりません。」とも。
 
「ただ、産出額の減少はそこまでで…」小松さんはここからが重要だという眼差しで、
 
「“ブランド価値が損なわれた”“地域で育ててきた人材が流出した”“人とのネットワークが崩れた”といった“社会関係資本”に福島県の農業は大きいダメージを受けているのです。」と仰いました。

その上で「この部分は“今”のお金の損害にも表れてきませんし、賠償の枠組みからも外れています。ですから今の福島の農業の損害はいくらか?と問われたときに、研究上の全体像が全く分かっていないのです。
今、お金で換算されている金額以上の損害があるということを、みなさんにわかって頂きたいです。」と述べられました。
 
“信頼”に代表されるような、必ずしも金銭に換算できないものも失われているのです。

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次回、復旧から復興のターンへ は5月27日にお届けいたします。


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