の首都圏つながりコラム

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ふくしまの想いをのせて イン KIHACHI 銀座本店

2012年12月13日

おいしい新米の季節がやってきました。
今年福島県では、基準値を超えた放射性物質を含む米を市場に流通させないよう、
新米の全量全袋検査を実施するなどして、食の安全には万全の態勢で臨んでいます。
 
しかし、消費者の方に本当の「安心」を実感してもらうためには、数値以外の面での理解を深めてもらうことが不可欠です。
 
安全性を肌で感じてもらい、安心して食べてもらおうと、
これまでに全国各地で消費者の方々に向けて、いかに放射性物質への対策をした上で農作物を栽培したり
家畜を肥育したりしているか、いかに出荷前の検査態勢を敷いているかを見てもらうイベントが開かれてきました。
ただそれでも風評が完全に払拭されたわけではありません。
 
消費者に安心してらうために、もうひと工夫しようじゃないか——
そんな発想から、今回は福島の食材を銀座の有名レストランで消費者に堪能してもらうと、
11月6日(火)に「ふくしまの想いをのせて イン KIHACHI 銀座本店」というイベントを開催しました。


会場となったKIHACHI 銀座本店(東京都中央区)

安全なだけでなく、一流シェフの手でより美味しく仕立てられた福島の食材の持つ「おいしさ」を
十二分に味わってもらおうという試みです。
 
腕を振るってくれたのは、KIHACHIレストラン部門の総料理長で、郡山市出身の鈴木眞雄さん。
いやが上にも期待が高まります。
 
この日は、抽選で選ばれた首都圏の消費者をはじめ、メディア関係者、生産者など計60名が参加しました。
元NHKのキャスターで、昨年来、「ふくしま 新発売。」のイベントではおなじみの、
村松真貴子さんの司会で会は始まりました。


ふくしまの味を満喫しようと集まった参加者の皆さん

この日、腕を振るってくれたKIHACHIレストラン部門 鈴木総料理長

司会の村松真貴子さん

まずは福島県の吉田肇農産物流通課長が、福島県がこの「ふくしま 新発売。」のサイトを通じて日々、
農林水産物の放射線モニタリング検査の結果を詳細に公表していることや、
今年から始まったコメの全袋検査の状況などを説明。
福島県全体で、農林水産物の安全性に全力を挙げて取組んでいる様子を紹介しました。
 
「福島の農林水産物が安全だからこういうイベントもできるんです。安全でなければとてもできません。」
と吉田課長。


吉田課長と村松さんは、多くのイベントでコンビを組んできただけに息もピッタリ

プロジェクターを使って安全・安心の取組みを説明します

 
参加した皆さんに十分安心してもらったら、いよいよ「おいしさ」を実感してもらう番です。
今回の会場は、KIHACHI 銀座本店3階のオープンキッチン付きの部屋。通常の営業には使用されていないスペースです。
このオープンキッチンで、鈴木総料理長に、お客様の目の前で福島県産の食材のおいしさをより引き出してもらおう、
という趣向です。
 
 
この日限定の特別メニューは6品。全てにふくしまの食材が使用されています。

『赤かぶの軽いポタージュ 蟹身をのせて』
南会津町館岩の赤かぶを使用

『マスの香草マリネ サーモンキャビアソース』
サーモンは磐梯鱒を使用、トマトはとまとランドいわきのものを使用

『福島牛のしゃぶしゃぶ風サラダ えごまドレッシング』
福島牛・えごまを使用

『会津地鶏とキャベツの田舎風おばあちゃんの煮込み』
会津地鶏ととまとランドいわきのトマトとパプリカを使用

『マンゴーちらし寿司』
福島県産新米を使用

『赤かぼちゃのティラミス』
奥会津 金山赤かぼちゃを使用

調理法を解説しながら、鈴木総料理長は手際よく包丁を振るいます。

なかでも参加者が一番関心を寄せたのが、マンゴーを使ったちらし寿司の調理です。

「マンゴーを入れるからちょっと甘いんです。その時には塩を軽く振ってください。
水を軽くたらしても味が柔らかくなります。」とアドバイスもしてくださいます。
 
さらに、今回はマンゴーを使いましたが、、
鈴木総料理長によると、苺を使ってもピンク色の美味しいちらし寿司になるとのこと。
 
すかさず村松さんが尋ねます。
 
「じゃあスイカはどうですか?」
「挑戦したいとは思いませんねぇ。」
 
と、軽妙な掛け合いをしながら、着々と料理が出来上がっていきます。


マンゴーをあえたご飯の上に、さらにカットしたマンゴーをトッピング

どんどんテーブルに並ぶ料理。それを口に運んだ参加者からは、次々と感嘆の声が上がります。
 
村松さんが参加者にマイクを向けて感想を尋ねても、
「福島でこんな美味しいいちじくが生産されているなんて知らなかった。」
「マスの食味がとてもよかった。」
「福島の食材のよさを周囲の人にも伝えたい。」
と、福島の食材に対する高い評価ばかりが聞こえてきます。
皆さん、その美味しさに本当に大満足のようです。
 
この日は生産者を代表して、郡山のコメ農家であり野菜ソムリエの資格を持つ藤田浩志さんと、
いわきの大規模トマト農園「とまとランドいわき」の専務・元木寛さんも参加しました。
 
藤田さんも、自分が栽培した米がマンゴーと出会って絶品ちらし寿司に変身したことに感激した様子。

「よもや私が生産したお米がこういう形で出てくるとは。想像を絶するとはこういうことを言うんだなと驚きました。
われわれ生産者は生産物をみなさんにお届けするのが役目ですが、素晴らしい形で料理していただける幸せ、
それをみなさんに喜んでもらえる幸せ、これを実際に体験できました。」と、藤田さん。

トマトやパプリカ、いちじくを提供してくれた「とまとランドいわき」の元木さんは、
「どの食材もお客様から高い評価を受けていましたが、それだけに風評被害がゼロにならない状況に立ち向かう決意を新たにした。」と言います。

「皆さんとこのような時間を過ごして感じたことは、私たちの努力として、皆さんが福島のものを知る手段の提供がまだ足りていないなということ。
皆さんが福島の食材に関してより調べられる場所を提供していくのが私たちの大事な仕事だなと。それを見て判断してもらうのは皆さんですが、選んでいただいたときに満足していただける野菜づくりを進めていかないといけないと痛感しました。」
元木さんの力強い挨拶に、会場は温かい拍手で溢れかえりました。


「とまとランドいわき」の元木さんの決意には温かい拍手が

 
藤田さんも、改めて復興への熱い思いを口にします。
 
「このようなみなさんの応援に報いるためにも、
みなさんが『すごいいい場所になったね、大変だったのに以前よりもずっとよくなったじゃないか、すごいじゃないか!』と
言っていただけるような福島にすることが恩返しだと思っています。
そういう福島県の農業を担っていく立場として、みなさんのことを想いながら、これからも頑張っていきたいなと思っています。」

マイクを握る藤田さんの頬を、自然と熱いものが伝っていきます。
それを見て「もう、今日は泣いたり笑ったり大変ですね」と声をかける村松さんも、指で涙をぬぐっています。
 
震災・原発事故の直後から、福島の応援団としてさまざまなイベントに力を貸してくれた村松さんだけに、胸に迫るものがあったのです。

「昨年はイベントをするにも本当に悲壮な思いでやっていたんです。
それが今日みたいに、お客さんと福島の食材を食べながら、笑いあえるようになるなんて……」
 
声を詰まらせながら話す村松さんの言葉に、参加者全員の目頭も熱くなりました。
 
最後に主催者を代表して、吉田課長が挨拶をしました。

「震災が起きた頃、私はお酒などの食材を各地にプロモーションする仕事をしていましたが、
震災後に、震災前と同じようなの仕事をしたのは今日が初めてです。
震災からこれまで安全、安心の説明会ばかりでした。
このように福島の美味しい食材を提供し、料理長のお力を借りながら食べていただける。
本当に元の仕事に初めて戻ったなという感じがします。こういう仕事がこれからもどんどん増えることを私も願っています。」


「ふくしまからはじめよう。」のハッピをかざし、再生をアピールする吉田課長

大きな拍手がわき、
会場は最後まで温かい空気に包まれていました。


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