野菜ソムリエ 藤田が行く!

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日本が誇る食材のひとつ“地鶏”。“地鶏”として認められるには、日本農林規格 (JAS)に基づいた基準をクリアしなければなりません。その基準についてはこちらの記事に譲りますが、福島県では、2種類の地鶏があります。
ひとつが、川俣町で生育している“川俣シャモ”。もうひとつが、今回ご紹介する“会津地鶏”です。お話は、会津地鶏の若手生産者である株式会社GAizu信 代表取締役 佐藤信行さんにお聞きしました。

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食べておいしかったから

「地元の自然を生かした何かをしたい」とは漠然と思っていたものの、元々農業を志していたわけではなく、ほかのお仕事をされていた佐藤さん。実家も農作業をほかの農家に委託するなど専業農家ではなかったそうです。

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「父は教師だったのですが、退職後、昔ながらの自然に囲まれた生活がしたいと、庭先で鶏を飼い始めたのが最初です。その時は名古屋コーチンなど一般的によく知られている鶏を飼っていたのですが、偶然会津地鶏が福島県のブランド認証を受けたという記事を見たようで、ぜひ飼ってみたいと。そうしたらこれも偶然ですが、近くに会津地鶏の生産者さんがいらっしゃって、その方のご紹介で養鶏協会に伺ったら会津地鶏の新規生産者を探しているということで、とんとん拍子に話が進んでいったんです。」
「そんなスタートから、だんだんと飼育羽数を増やしていったときに父が体を壊しまして、私が仕事を辞めて地元に帰ってくることになりました。その時は漠然と、法人化を目指すかな?自然を生かした何かをやりたいけど…といった具合に明確なコンセプトはなかったんです。」

 

一つだけ明確なものがありました。
 
「とにかく、会津地鶏は食べておいしかったんです。これが家業を継ごうとした決め手でした。」
 
養鶏に携わるようになり、日々会津地鶏に魅了されていった佐藤さん。
 
「鶏によってえさの好き嫌いがあるんですよ。米を好んで食べる鶏は卵の色が薄く、それぞれの鶏の嗜好でわずかですが卵にも変化があります。個性というのは面白いですね。」

 

地産地消の大切さを感じた人が多かった

近年の地域特産品に対する需要の増加やブランド地鶏ブームも相まって、経営が軌道に乗り始めたときに起きたのが、東日本大震災とそれに伴う原発事故でした。

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「震災発生の半年前に鶏を増やして、規模拡大をしたばかり。最初は津波の被害で東北太平洋側の港が機能せず、餌が全く入ってきませんでした。必要最低限のえさの量でしのぎながら、安定し始めたのは3か月後、しかも九州から届いたものでした。
取引についても、風評の影響などで、残念ながら多くの県外取引がストップしてしまいました。
結局、飼育規模を拡大以前の規模に戻さざるを得ませんでした。」
 
しかし、このような苦境の中、支えてくれたのは地元の方々でした。
 
「餌に困っていることを知った近所の方が、お米や野菜を餌にして、と持ってきてくださいました。本当にたくさんの方でした。
そして、県外取引がストップしても会津管内の取引は大丈夫でした。震災と原発事故によって、地産地消の大切さを感じた人が多かったのではないでしょうか。」

「2年前に、地元スーパーである、リオンドールの社長さんがうちの会津地鶏の卵を売り出してくださったんです。
それまでは、直売所や道の駅などを中心に出荷していました。小ロットなどの理由で、正直スーパーではなかなか手に取ってもらえないのではないかという不安がありました。
実際に販売してみると、地鶏の卵にこだわって買う人がいらっしゃいました。
それで自信がつきましたね、まだまだ届いていないところがあるんだって。」

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苦境が新しいつながりを生み、そして今まで見えていなかった可能性を知った佐藤さん。

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餌 上:牡蠣がら 右下:配合飼料 左下:飼料用米

飼料用米として生産しているお米に使われる肥料は、会津地鶏の養鶏から出た鶏糞100%で、これからは同様に飼料用の麦も栽培していき循環型の農業を目指したいそうです。
 
「餌についても地元産の割合をあげていきたいと思っています。地元の豆腐屋さんから出たおからを小糠(こぬか)と合わせて発酵させたものや、地元の学校の給食で出たダイコンの葉っぱなどの野菜の残りを活用させてもらっています。
栄養面のバランスの問題もあり、生産している飼料用米も含めて今はまだ餌の総量の30パーセントほどなのですが、地元産のものをもっと使っていきたいです。」

それが地元への思いというのはもちろん、飼料の高騰などの問題を乗り越え、こだわりの地鶏を生産し続けていくうえで大切に思っていることだそうです。
 
「地産地消って、送料もかからないし鮮度もいいものが手に入る、いいことだらけなんですよね。」

全国のものと戦いたい

「イベントに積極的に出店させて頂いているのですが、だし巻き卵を出したときに、“おいしそうな香りがする!”と行列が出来たのにはびっくりしましたね。火を通して違いが出る卵ってすごいなと。
肉についても、歯ごたえが硬いという弱点はあるものの“美味しいのは分かってるから”と、プロの料理人の方に言っていただいて、諦めずにおいしい調理法を編み出すようチャレンジしてきました。
ひいきめではない第三者からの評価は自信に繋がりますね。」

 

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写真は、左上からもも焼き、卵、生卵、くんせい玉子

「震災と原発事故はもちろんマイナスの部分も大きかったのですが、考えさせられたことも多くありました。工夫をしなければならなかったのでいろいろなアイディアが出てきたのです。
復興支援は本当にありがたかったです。震災から5年がたとうとする今、“復興支援だから買わなくちゃ”ではなく“おいしそうだから買いたい!”と言って頂けるようにしなければならないと思います。そういうフィールドで全国の美味しいものと競っていきたいですね。」
 
今後も、佐藤さんの会津地鶏の活躍が楽しみです。
 

株式会社GAizu信「あいづの地鶏やさん」
ホームページ http://gaizusin.com/
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